経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)治療に関するFAQ
経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)治療に関して、よく寄せられる疑問・質問についてお答えします。
- TAVIまでの流れはどのようですか?
- 「初診外来 → 検査入院 → ハートチームカンファレンス→ TAVI入院」となります。
詳しくは、TAVI治療の流れを参照下さい。 - 遠方なのですが、慶應病院で治療は受けられますか?
- もちろん受けられます。また、遠方の患者さんの場合、初診外来を省き、直接検査入院頂くことも可能です。詳しくは、TAVI治療の流れ、遠方より受診希望の患者さんへを参照下さい。
- TAVIの治療費は?
- TAVIの治療には健康保険、高額医療制度が適応されます。費用は年齢や所得によって異なりますが、おおよそ5万~20万円です。詳細についてのお問い合わせは、当院代表電話(03-3353-1211)へお願い致します。担当部署へお繋ぎします。
TAVI治療における費用について
[例]TAVI治療入院(約7日~14日)の場合
■健康保険を使用される場合70歳未満の方 約180万円(3割負担) 70歳以上の方 44,400円(所得により異なります) 70歳未満の方 約14万円 70歳以上の方 44,400円
※上記はあくまで概算です
《参考》高額療養費制度についてはこちら(厚生労働省サイト) - どんな合併症がありますか?
- 大きな合併症は死亡、心筋梗塞、脳卒中、弁輪破裂、左心室破裂、カテーテル弁の移動、急性大動脈弁閉鎖不全症(結果として急性心不全)、血管損傷(動脈解離、破裂)、房室ブロック(永久ペースメーカー)などがあります。これらの事態には迅速で対応する必要があり、場合によっては緊急で開胸術や開腹術(血管損傷の場合)に移行しなくてはならない場合もあります。この治療が誕生した当初は合併症の率が高かったですが、デバイスの改良、経験の蓄積により、年々成績が改善しています。アプローチ部位、施設や地域、施行された年代によりヨーロッパやアメリカ、日本でレジストリ研究や治験の結果から、術後30日間の死亡率は約5%まで改善しています。日本では昨年10月より保険償還されていますが、現在(2014年8月)までに600例以上の患者さんがこの治療を受けており、未だ少数例ながら、30日死亡率は1%程度となっています。
- 治療による痛みはありますか?
- 治療は基本的に全身麻酔で行われますので痛みを感じることはありません。治療後にカテーテルを挿入した足の付け根に不快感があったり、経心尖アプローチの場合には傷口の痛みが残ることがあります。全身麻酔の場合は術後にのどに違和感をおぼえたりすることがあります。これらは数日から一週間でおさまります。局所麻酔で行う際にも局所麻酔以外にも鎮静剤(睡眠剤)を用いて術中は軽くウトウトした状態で寝て頂くことが多いです。
- 透析の患者さんは受けられないと聞きましたが・・・
- 海外では透析患者さんにもTAVIは施行されていますが、現在(2014年8月時点)、日本では残念ながら保険適応となっておりません。今後適応の拡大が望まれます。
- 年齢が若い患者さんは受けられないと聞きましたが・・・
- TAVIが始まってからまだ10年程度しか経っておらず、それ以上の長期成績が判断できません。そのため、現在では60~70歳程度までの患者さんであれば通常、長期成績も担保されている外科的大動脈弁置換術 (SAVR)が標準治療となります。しかし、これまで何度か開胸手術を受けたり、手術の危険性が高い方などは、TAVIの適応が検討されます。
- 他にこの治療(TAVI)を受けられない患者さんはいますか?
- 下肢や腹部の血管の問題、胸郭や心臓周囲の問題でカテーテルの挿入部が得られない患者さんや、全身状態があまりに悪い患者さんはTAVI治療によって利益を得られない可能性があります。そのような場合であってもまずは当院に受診して頂き、諸検査を施行の上、私達の「慶應ハートチーム」でよく検討させて頂きたいと思います。後者の場合、バルーン大動脈弁形成術 (BAV)で治療を行い、全身状態をよくしてからTAVIにつなげる方法 (ブリッジ) も考慮することがあります。
- 手術中に輸血は必要ですか?
- 必須ではありませんが、術中の合併症による出血で必要となる場合があります。そのため、術前に予め緊急時に備え、輸血の準備はさせて頂きます。必要がない場合には輸血は致しません。
- 治療後にMRI検査は可能ですか?
- 経カテーテル生体弁は磁性がありませんので問題はありません。